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Vol.1:Gerda Taro - "Another Female Capa"
ゲルダ・タロー もう一人のロバート・キャパ                             (2013/02/01)


1月26日(土)から、横浜美術館で「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展が開催されている。

スペイン内戦の「崩れ落ちる兵士」を撮影し、報道カメラマンの先駆者として有名なロバート・キャパだが、もう一人の、ゲルダ・タローについては残念ながら、あまり知られていない。

もともと、ロバート・キャパは、1935年にパリで出会った、ハンガリー出身のフリードマン・エンドレ・エルネーと、ドイツ出身のゲルタ・ポホイルが、生 み出した架空のアメリカ人の報道カメラマンの名前である。映画監督のフランク・キャプラをモチーフにしたといわれる。

キャパとしての共同活動の後、フリードマンは報道写真家としてキャパの名前を1954年の北ベトナムで生涯を閉じるまで、そのまま使い続けた。ポホイル は、当時パリに滞在していた岡本太郎とグレタ・ガルボからとったゲルダ・タローという名義で、活動していった。

フリードマン、ポホイルともに、ユダヤ系であり、当時ナチス台頭のドイツ軍の迫害を避け、パリに来ていた。

出会った当事、すでに先に写真家として活動していたフリードマンの助手として、撮影技術を学んだポホイルは、スペイン内戦の勃発と同時に、二人でバルセロナに渡り、共に戦場フォトグラファーとして活動をした。

当初は、共同名義でロバート・キャパとしての作品を公開し、その後、ポホイルはゲルダ・タローとして活動を開始し、キャパ&タローの連名で、さらに1937年にはタロー単独での作品の公開も行われた。

しかし、彼女の名声が高まろうとしている矢先の1937年7月25日、飛び乗った車両に戦車が衝突し、重傷を負いそのまま翌日病院で亡くなった。27歳の誕生日を目前にしていた惨事だった。


タローの報道写真家としての活動は、実質的には1936年から1937年の1年間だけである。
当初は、ライ カで長方形型の2:1比率の写真を撮っていたキャパと、ローライで正方形の1:1比率の写真を撮っていたタローの作品の区別は容易であったが、その後、タ ローもライカに持ち替えているため、キャパの初期の作品はタローが撮ったと思われる写真も混在しており、そのこともあり、写真家としての、タローの評価 は、近年まで進んでいなかった。

横浜美術展の展示では、タローの作品と、キャパの作品がそれぞれの個展形式で完全に分かれているため、タローの撮ったローライの正方形の空間を広く取った 構図や、スペイン内戦で多く活動した女性兵士や、キャパの作風ではあまり見られない戦死した遺体など、彼女の写真家としての優れた技量を見ることができ る。また、キャパの「崩れ落ちる兵士」の対象の兵士が、ほかの兵士と一緒に写っている写真も公開されている。

ロバート・キャパの足跡、作品のみならず、彼の活動に大きな影響を与えた相棒、ゲルダ・タローの作品を日本国内で初めて本格的に鑑賞できる「ロバート・ キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展は、3月24日(日)まで、横浜美術館で公開されている。


【展示会詳細】
横浜美術館 企画展 ロバート・キャパ / ゲルダ・タロー 二人の写真家

主催:横浜美術館、朝日新聞社
場所:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
問い合わせ:045-221-0300

概要:世界で最も著名な写真家のひとり、「ロバート・キャパ」ことアンドレ・フリードマンと、ドイツ人女性ゲルダ・タローのそれぞれの写真作品による二つ の「個展」で構成される写真展。約300点にのぼる写真作品と関連資料で、両者の深い繋がりと活動の軌跡を辿ります。
入場料:一般1,100円 大・高校生700円 中学生400円 小学生以下無料

公式ホームページ

http://www.yaf.or.jp/yma/

 

 

 

 

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